「絵が好き」から始まった、この生き方
カラフルな色彩と複雑な模様で描かれたチベット仏画。見ているだけで心の奥底に響き、自分自身と向き合えるような感覚を覚えます。この仏画の描き手がユミ・ツエワンさん。チベット仏画師として活躍する傍ら、チベットタロット占いやアートセラピーにも取り組む、熊本でも珍しい存在です。今でこそ他者を癒す活動を多く行うユミさんですが、今に至る最初のきっかけは「絵が好き」「旅が好き」というシンプルな気持ちだったと語ります。絵が描きたくて美術系の短大に進み、日本画や銅版画、パステル画を学んだユミさん。とにかく海外に出たいと思い、働いてお金を貯めてはバックパッカーで旅する日々を送ることに。「親からは反対されましたが、自分の気持ちが抑えきれなくて(笑)。しまいには、ニュージーランドのアートスクールへの入学も決めてしまいました」と笑います。当時から類い希な行動力の持ち主だったようです。「旅先で絵を描いては旅費の足しにして、貯まったらまた次の土地に行って…。友人を訪ねたり、テントで野宿したり、気ままな旅を行っていました」。アジア各国を中心に、訪れた国は40ヵ国以上。そんな中、ずっと行きたいと願っていたチベットへと、足を踏み入れることになります。