ファンタジックでガーリーで、どこか不思議。独特の世界観が漂うキャラクターやデザインを手掛ける グラフィックデザイナー・平野加理（かおり）さん。5歳と2歳の2児の母でもある平野さんは、保育園のママ友で結成した 益城町復興支援チーム「しあわせの輪」の主力メンバーとしても活躍した経歴を持ちます。 そんな彼女とハナウタカジツとのコラボとは？早速お話を伺ってきました。
可愛らしい瓶の中に入った３つの桃。少し開いた蓋と瓶の隙間から、アラジンと魔法のランプのお話に出てきそうな煙が現れて…。まるで童話の世界の1ページのような桃のイラスト。これは、今シーズンにハナウタカジツから発送した桃の箱に同梱されていた「ハナウタぬりえ」です。このぬりえに色を塗って返送すると、収穫を終えた桃園に飾られ、お客様が色付けした様々な桃の絵が桃の木を再び実らせる、という仕掛けです。それだけでなく、ハナウタカジツの横綱みかんを使ったノンアルコールドリンク「ジンジャーボンバー」が抽選で当たるとあって、子どもだけでなく幅広い世代からぬりえが寄せられました。このぬりえのイラストを描いたのが、熊本市在住のグラフィックデザイナー平野加理さんです。
平野さんは鹿児島県薩摩川内市生まれ。鹿児島市内の専門学校でグラフィックデザインを学び、看板製作会社に就職した後、2007年に独立。結婚を機に熊本へ移住し、現在の事務所を構えました。これまでの仕事をのぞかせてもらうと、得意分野だというファンタジックなイラストの他、シンプルでシックなフライヤーや看板の制作、イベント時のブースデザインなど実に様々。「よく『一人が作ったとは思えない』と驚かれます。私の仕事はクライアントの要望を形にすることですから、とことんヒアリングして先方にぴったりのものを作り込むのが信条。逆にこだわり過ぎてクライアントからそこまでしなくていいよって言われることも（笑）」。特に好きな仕事はトータルデザイン。「グラフィックだけでなく、ロゴから空間デザインに至るまで私のカラーを思う存分表現させていただける仕事が大好き。おかげ様で最近はそういったプロデュースのご依頼が増えてきました」。
もともとハナウタカジツの桃のファンで、シーズンごとに自分用やお中元用にネットで桃を購入していたという平野さん。そこからSNSでの交流が始まり、お互いに興味のあるセミナーなどで顔を合わせるようになります。ハナウタカジツが平野さんにぬりえイラストを依頼したのは2018年5月のこと。「片山さんの要望は、私らしいメルヘンなタッチを活かして桃を自由にアレンジしてほしいということでした」。そこで、瑞々しく香り高いハウスの桃をテーマに、蓋を開けた瞬間に桃の甘い香りが溢れ出てくるイメージでラフ画を作成しました。「片山さんの返事は一発OK。桃の出荷時期に間に合うよう、すぐにハガキのデザインに取り掛かりました」。嬉しかったのは、納品した後にお客様からどんな反応があったか、度々報告があったことだそう。「制作物納品後の反応や効果はデザイナーとしてとても気になる部分。片山さんはその辺をきちんと返してくださいます。これからも一緒に何か手掛けていけたらいいな、と思います」。
仕事の傍ら、平野さんが現在力を入れているのは、熊本地震で大きなダメージを受けた益城町の復興支援チーム「しあわせの輪」の活動です。震災後、多くの人が精力的にボランティア活動に励む姿を見て、自分も何かしたい気持ちはあるものの授乳中で何もできないジレンマを抱えていたという平野さん。そんな中、益城町在住のママ友2人から「益城の良いところをまとめたマップを作りたいから手伝ってほしい」と声をかけられ、「これこそ自分らしさを活かした復興支援だ！」と、参加を決めます。益城町の遊び場や美味しい店、民話などをまとめた「クママップ」の制作で、平野さんは編集・撮影・デザイン・イラストなどを担当。2018年5月には発行お披露会を兼ねた「クママルシェ」も開催し、大きな反響を呼びました。「このマップ制作にあたって益城町のいろんなスポットを取材し、本当に自然豊かで魅力的な町だなと気づかされました。私にとって益城町はリフレッシュできる場所であり、第2の故郷のような愛着があります。このマップを子育て世代はもちろん色んな人に活用してもらい、益城町に足を運んでいただけたら嬉しいですね」。
今後は、「しあわせの輪」から更に活動範囲を広げた「MAMA FLAG」の代表として新たなスタートを切るという平野さん。子育て世代の旗振り役としてますますの活躍が期待されます。（聞き手／ライター 上原 直美）
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