【結果発表】ハナウタカジツ×140字小説
ハナウタカジツ×140字小説では、12/15~1/15まで作品を募集し、72作品のご応募をいただきました。
厳正な審査の末、受賞4作品が決定いたしましたので、ご報告させていただきます。
最優秀賞
冬の夜、窓を開ける。きらきら瞬く星を見て、冷たい空気で眠気をさます。希望と不安が半分こ。受かるかな、受かるよね。机の上には大きなみかん。大きなみかんの底には「がんばれ」と遠慮がちに書いてある。みかんを一口食べたら美味しくて、もう一口、もう一口。力を貰えて、再び問題集に取り組んだ。
— ひま (@hiiimaaah) 2016, 1月 9
「どすこい!!横綱みかん」の“頭”はとても大きく、頭一つも二つも抜きん出いる勢いです。そんないわれを知っての、受験生へのプレゼントでしょうか。 眠気をさますために窓を開ける、というところに親近感を覚えました。そこに「きらきら瞬く星」という景色を取り込む手法も見事です。 また、「がんばれ」の文字を書いたのは一体誰なのだろうという想像が膨らみました。お母さんからかもしれないし、おじいちゃんからかもしれない。私は、小さい弟が覚えたてのひらがなで書いているところを想像しました。けれど、それだったら「遠慮がち」にはならず、もっと大胆な字になるかもしれませんね。
優秀賞
昔は上手く剥けずボロボロになっていたみかんの皮も、今では綺麗な花形に剥けるようになった。隣で我が子がみかんを上手く剥こうと頑張っている。「いつか素敵な花を咲かせられるよ。」みかんのように、強く、懐かしく、みんなに愛される大人になってほしい。キョトンとした我が子へ、私なりのエール。 — 椛雫。 (@mmj_szk) 2015, 12月 16
大きな「どすこい!!横綱みかん」を食べた子どもは、きっと健やかに大きく育つことでしょう。
みかんの皮が上手に剥けた状態のことを「花形」と形容し、それを我が子の成長の願いと重ねているところが素晴らしいと思いました。花形に剥けるようになった頃、「我が子」はきっと素敵な大人になっているはず。キョトンとした顔も、やがて凛々しくなっていくのでしょうね。
これもっていき。母が巨大な蜜柑をお弁当袋に詰める。横綱みかん。友達が驚く事間違いなしのサイズ。春ちゃんと半分こにしぃよ。些細な喧嘩に悩んでた事がばれてる。半分にしてもお腹膨れそう。お腹いっぱいになって二人で笑っときゃええんよ。母の人生の哲学はシンプルだ。分け合う幸せ。そうだよね?
— 由@初から変更中 (@magicredeyes) 2016, 1月 9
「母の人生の哲学はシンプルだ。分け合う幸せ。」という文章に惹かれて、優秀賞に選ばせていただきました。 お弁当を持って行っているところから、主人公は中学生か高校生の女の子なのかなと想像しました。10代の頃の喧嘩って、その後ずっと仲直りできない気がするものですが、意外と単純なきっかけで関係を修復できるもの。分け合う幸せ。本当に、シンプルですね。
ハナウタカジツ賞
別にデザートは要らないけど、君が食べるなら私も食べたいな。真似っこは昔から。頼まれて、そう呼ぶには大きめの蜜柑と格闘する君の包丁さばきは何時も通りで見ていられない。手伝うよと言えば、共同作業と茶化す言葉にやっと顔を覗かせた果実が弾けた。その言葉も、君とのそんな見方も、初めてで。 — リホシー (@qqmzgru9670) 2016, 1月 14
「真似っこは昔から。」「その言葉も、君とのそんな見方も、初めてで。」など、リズムを重視して書かれているなということが感じられました。
「どすこい!!横綱みかん」は大きいので、一人で食べるのもいいですが二人で分けあって食べると一層おいしく感じられるでしょう。ぜひ、実際にどなたかと分けあってご賞味ください!
時季もあってか、受験を題材にした140字小説が多かったように思います。また、分けあって食べたり、誰かと一緒に食べたりと、「どすこい!!横綱みかん」が人と人とをつなぐアイテムとして使われている作品も多く見受けられ、選考しているこちらも暖かい気持ちになりました。
第一回目としてはたくさんのご応募をいただきましたので、また違う果実で140字小説コンテストを開催させていただきたいと思っております。今回は惜しくも受賞を逃したという方も、また挑戦されてみてください。次回も皆さまの力作をお待ちしております!
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